【雨漏り診断士の視点】雨水を集中させてはいけません

2023年3月17日

建物を長持ちさせるという視点で欠かせない点がいくつかあります。
今日はそんな視点から事例をあげさせていただきます。

傷んでしまった軒天井

これは大屋根から1段下がった屋根を下から撮影した写真です。
ご覧の通り軒天井が傷んでいるのがわかります。
なぜこんな事になってしまったのでしょうか?
下屋根に登って確認してみました。

大屋根の雨が1箇所に集中

大屋根の水を受ける雨といがあります。
この雨といに「マス」がありますが、そこから瓦屋根に垂れ流しとなっています。
この水が集中するおさまりは非常によくない、というか完全にアウトです。
瓦屋根はその形状で水をさばいています。
当然さばける雨水の量にも限界があります。
さばけなくなった雨水は瓦下に浸入します。
瓦下にも2次防水がありますが、築40年以上のこちらの建物、当時使われていた2次防水といえばトントンシートと言われるモノで熱や経年で縮んでしまうという代物。
瓦を1枚めくればわかりますが、縮んでしまってトントンシート同士の重なりはありませんでした。
そんな状態ですので集中してさばけなくなった雨水は瓦下に浸入、隙間だらけの2次防水から軒天井へ到達し、軒天井を痛めてしまう。

というメカニズムです。軒天井だけでなく室内にも雨漏りが発生しているという状況です。

こういった場合、大屋根のマスから一段下がった屋根の軒先まで雨水を導いてあげるという方法がとられていれば防ぐことができた雨漏りと言えます。

「雨水を集中させない」建物を長持ちさせる大切な視点です。

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