外壁塗装.COM 教えて掲示板の質問に回答しました。
質問
4年前に初の屋根塗装をしています(屋根のみ3回塗り)。
今回外壁と一緒に屋根も塗装予定です(前回の業者が良くなかったのか、艶がなく色落ちしてきているし、付帯部の色あせが気になるため決意)。
そこで見積をお願いした2社の意見が全く異なり、どちらが正しいのか分かりません。
たまたま見積をお願いした業者の片方が4回塗りを通常としている会社だったため
業者選定に悩んでおります。アドバイスをお願いいたします。
A、初塗装なら屋根を4回塗りするメリットはあるが、2回目の塗装なので良くない。理由は塗装が繰り返されて厚くなると割れる危険性がある。スレートの塗装回数の寿命は3-4回程度。それ以降は葺き替えになってしまう。厚くならないよう2回目以降は3回塗りが良い。外壁については遮熱塗料で壁を、とくにガスケット部分を保護すると良い。
B、前回塗装から4年程度なので3回塗りでも大丈夫でしょう。でも塗装皮膜は4回塗りしても厚み1mmもないので、塗装を繰り返して被膜が割れるという心配はない。遮熱塗料は家の構造を知らない人が勧めるもので、それで家の中の温度が変わることは期待しない方がよい。遮熱塗料を勧める業者はおかしい。
塗料について適切な知識を持ち合わせている会社にお願いしたいと考えています。
遮熱塗料につていは話中の塗る目的が異なるし、予算オーバーで検討範囲にはないので塗装する予定はないのですが、業者選定の参考にしたいと思っております。
よろしくお願いいたします。
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回答
はじめまして。大田区で塗装業を営んでおります、有限会社サンカラーの倉方と申します。
住宅のスレート屋根とのことですが、通称、コロニアルという物で想定してお答えいたします。
まず、4年前に塗り替えたとのことですね。
色あせする原因として考えられるのが立地条件、日当たり条件などを考慮しないで考えますと、
①塗料の性能
②塗料の塗布量
が単純にあげられます。
①はどんな塗料を使ったか?ウレタン系であれば4年程度で色あせは顕著になってきます。
②の場合はたとえ耐候性(持ち)のいいシリコンやフッ素塗料を塗装しても希釈のしすぎや塗装回数が少なく、塗布量(塗っている塗料の料、塗膜の厚さともとらえることが出来ます)が基準に達していない。場合、色あせは発生します。
本題の、3回塗りか?4回塗りか?
というご質問ですが、
現在の塗膜状況によって変わってきます。
通常の場合、屋根用シーラー1回+屋根用塗料2回塗りを標準としておりますが、
初めての塗り替えの場合、高圧洗浄をかけると新築当時にあった表面の塗料が無くなってしまう場合があり、コロニアルの基材(スレート)がむき出しになってしまいます。その状態ではシーラーを1回塗装しただけでは吸い込まれてしまい、シーラーの意味をなしません。したがってシーラーを2回、もっと条件が悪ければ3回塗装し、俗に言う『濡れ色』になるまでもっていき、そこから屋根用塗料を2回塗って仕上げます。
お客様のご自宅は1回塗装済ということなので
通常であれば塗った塗膜がある状態と仮定すれば
屋根用シーラー+屋根用塗料2回塗りで大丈夫ということです。
もちろん、1回目の塗装で造られた塗膜の密着が悪く、高圧洗浄をかけたときに剥がれるような事があれば、塗装回数もさることながら、密着の悪い塗膜を剥がす作業という物が入ってきます。その場合は先にもお話ししましたが、シーラーを数回塗装してという事になる可能性もあります。
少しお話しがずれてしまいましたが、
要するに、3回塗りがいいとか、4回塗りがいいとかではなく、下地に応じた塗装をすることが大事だと思います。
また、現在では屋根用のシーラーレスフィーラーというのもあります。
これは下地が脆弱で吸い込みの激しいコロニアルに塗装し、吸い込みを止めるという物ですが、脆弱なコロニアルに直接塗装してしっかり密着するのか?という不安はあります。
考え方としてシーラーは下地に浸透して固める。シーラーレスフィーラーは上で膜を作ってしまう。ということです。
それから、塗膜の厚さというのが焦点になっていますが、コロニアル屋根の場合、下から一枚一枚重ねて屋根を造っています。その重なり部分は隙間があるのが標準なのですが、塗装をするとその重なり部分が塗料でふさがってしまい、雨などの湿気が抜けず、コロニアルの下地であるコンパネ(合板)を痛めてしまう可能性があります。コロニアルは釘で止めている物です。湿気が抜けないと釘が錆びてその下にあるアスファルトフェルト(防水紙)の釘シール性を著しくそこない、コンパネを痛めるということになります。結果、雨漏りの発生という事態になり、最終的に屋根の葺き替えという事になってしまいます。
現在ではその対策として『縁切り』をしっかりする。または『タスペーサー』を入れて物理的に隙間を作るということを標準としている業者さんも増えてきました。
遮熱塗料についてですが、塗って室内の温度が下がるということは無いと思っております。
お客様には
『涼しくなったという実感はありませんが、真夏、エアコンの使用頻度が少し押さえられる程度とお考えください。』とお話ししています。
また少しそれてしまいましたが、
①塗り回数は3回がメーカー推奨、(標準)しかし下地の痛み具合によってはシーラー2回、3回塗って屋根用塗料を2回塗るという場合もある。
②塗装回数での厚み云々ではなく、3回塗りでも4回塗りでも大事なのは『縁切り』
というお答えです。
ちなみに、弊社ではコロニアル屋根の場合、塗り替えは2回までとお客様にお話ししております。それは、さきの『縁切り』に限界があるということと、スレート(コロニアル)の寿命が約30年程度という理由からです。
塗装業者といっても知識も経験も考え方もそれぞれです。
住宅のメンテナンスというと金額も大きいです。
情報があふれている昨今、何を、誰を、どこを信用していいのかわからない現状。
それを見極めるためにお客様自身が多少なりとも知識を持って臨む事が必要な世の中になっています。
長々となってしまい、申し訳ございません。
私の回答が少しでもお役に立てば光栄でございます。
有限会社サンカラー 倉方康幸