どの業者様の御見積でも、例えば、外壁ならば
『微弾性塗料+水性シリコン2回塗り』
と御見積に併記されています。
でも、なぜ3回塗らなければいけないのか?
2回塗りで仕上がるのならば2回塗りの方が安くすむのに!
そうですね、塗装の費用というのは材料+工賃です。2回塗りですめばその分材料費はかからないし、工賃だって安くなります。
『あと3年で壊すから小綺麗になっていればいいよ』
というのなら2回塗りでもOKです。
でも、ほとんどのお客様は 建物を長持ちさせたい!綺麗に保ちたい!とお考えです。
それには、最低3回塗りが必要なんです。
これからそのメカニズムをお話しさせていただきます。
塗料は例外なく樹脂+顔料で出来ています。そのままでは塗装することが困難なので水性塗料であれば水、溶剤系塗料であれば溶剤を媒介させることにより粘度を調整し塗装に適した状態にしています。
そして塗料の乾燥とは媒介している水なり溶剤なりが蒸発、分子結合して塗料から塗膜へと変化します。
この、水なり溶剤なりが蒸発するときに穴が空きます。この穴は蒸発しきるまで空いているので塗膜になっても存在します。
厳密に言うと塗膜に穴が空いている状態と思ってください。
これを重ね塗りすることで穴の位置が変わり、紫外線や雨水の影響を防いでくれます。
そしてもう1回、3回塗りだと、さらに穴を塞いでくれます。
一般的に外壁塗装では
赤線は…微弾性塗料(下地調整をする材料で、耐候性はありません)
青線、緑線は…水性シリコンや弱溶剤シリコンといわれる上塗り材
です。
このことから
赤線…微弾性塗料+青線水性シリコン だけでは長持ちしないということがご理解いただけるかと思います。
また、
回数だけ塗ればいいと言う物ではなくて、
図で表すと線の太さ、これが塗膜の厚さになります。媒介している水なり溶剤なりを入れて塗装すると、その分だけ塗料の体積は増えますが、それは蒸発する分が多くなっているだけで結果的に塗膜は薄くなってしまいます。
どんな塗料でもメーカー指定の塗布量という物が存在し、その塗布量を塗ることによって必要な塗膜厚が確保→塗膜の性能が発揮される。
ということになります。
この図では→の部分が標準塗布量となります。
(1㎡あたり0.14~0.17kg塗装することという意味です)
そして『上水3~10』というのは水希釈の割合(%)を表しています。この範囲であれば希釈は可能ということになります。
水性シリコンは約8年~12年の耐候性、フッ素では15年~20年と言われています。どんなに高性能、高機能の塗料を使用しても塗り回数と塗布量を守らなければその性能を発揮することは出来ません。
なぜ、3回塗りをするか?ご理解いただけただければ幸いでございます。